しらべる1(化学構造)
赤外分光光度計, Fourier Transform Infrared Spectrophotometer (FT-IR)
物質に赤外光を照射すると分子がエネルギーを吸収して振動・回転運動を生じる。吸収する光エネルギーの波数は分子構造に依存するため、赤外吸収スペクトルを読むことにより、有機化合物の構造を知ることができる。本設備はATR(全反射測定法, Attenuated Total Reflection)アタッチメントを装着しており、前処理をすることなく、速やかにスペクトルを得ることが可能。
ガスクロマトグラフ, Gas Chlomatograph (GC)
ガス化した試料をキャリアガスでキャピラリーカラム内を移動させる。カラム内を移動する各成分はクロマトグラフィーの原理により分離される。検出器により得られたクロマトグラムから、試料の定量および定性を行うことができる。
ゲル浸透クロマトグラフ, GPC
サイズ排除クロマトグラフの一種。ポリマーの分子量を見積もることができる。カラムに充填したゲル固定相を試料が通過する際、小分子はゲル内部まで進入できるが、巨大分子は担体のゲルの外部を流れ去るだけである。よって、試料のサイズにより固定相の移動速度が異なるため、物質が分離される。
この他に、共通設備として核磁気共鳴分光装置, FT-NMR (400, 500, 600MHz), 紫外-可視分光光度計 (UV-Vis), X線回折装置 (XRD)などを利用している。
しらべる2(物性)
熱機械測定装置, Thermal Mechanical Analyzer (TMA)
治具に装着した試験片に一定の昇温速度で加熱し、その歪みを測定することによって、試料の線熱膨張や体積膨張を評価することができる。
動的粘弾性測定装置, Dynamic Mechanical Analyzer (DMA)
一般に高分子材料は固体としての性質と液体としての性質を併せ持つ(粘弾性)。試験片に任意の周波数の振動荷重を与え、それに伴い発生する応力を測定することにより、試料の動的な粘弾性を評価することができる。
精密万能試験機, Universal Testing Machine
治具に装着した試験片に引っ張りや圧縮、曲げ荷重をかけて、その応力や変位を測定することにより、試料の強度やヤング率、ひずみを評価する。
この他に示差熱・熱重量測定装置 (TG-DTA), 示差走査熱量測定装置 (DSC), を共通設備として使用している。
つくる
石臼式摩砕機, Grinder
装置に内蔵される2枚のディスク状の砥石が回転して石臼のように試料を擦り、微細化する。本来はあんこやポタージュなど食品を加工する装置であるが、ナノファイバーの製造に有効である。
紫外線照射器, UV Irradiator
重合反応に用いる。開始剤にUV光を照射するとラジカルが発生する。ラジカルはアクリルなどのモノマーを重合し、高分子量のポリマーに変換する。
凍結乾燥機, Freeze Dryer
水溶液や水分散体を急速凍結した後、真空状態に晒すと昇華により、凍結した形状のまま試料を乾燥することができる。スポンジ状の多孔質体として得られ、また、物質間の水素結合を伴わずに乾燥できるため、溶解性に優れる。
ホットプレス機, Hot Press
油圧で大きな荷重をかけながら加熱することにより、試料を所望の形状に成形できる。
遠心分離器, Centrifuge
試料に対して強力な遠心力をかけることにより、構成成分を分離することができる。懸濁液の分離に有効である。
オートクレーブ, autoclave
高圧力で試料を処理することが可能な耐圧装置。亜臨界条件における化学反応や試料の滅菌処理に用いる。
マイクロ波照射装置
マイクロ波を照射することにより荷電粒子や電気双極子を振動・回転させることにより試料を急速に加熱することができる。外部熱源による加熱に比べて熱伝導や対流の影響が無いため、均一かつ速やかに加熱することができる。昼時刻に多用される。